お局様
職場にいわゆるお局と呼ばれる女性がいる。
社員の年齢が比較的若い職場にあって、その女性は還暦を超えている。
高圧的な態度をとるわけではないが、とにかく自慢が激しいので、誰も口にしないが、良い印象は持たれていない。
実際私もその女性が苦手だった。仕事に集中したい時にも大きな声で話しかけてきて自慢される。無視するわけにも行かないので、いやいや付き合う。それが社会人というものなのであろう。
職場もリモートワークになり、お局と1ヶ月以上あっていなかったが、今日急にlineのグループに投稿があった。
今回もまた自慢話だった。
だけどなぜか今回は嬉しい気持ちになった。そのお局をヨイショするようにみんな発言していく先輩。波風立てないように何も発言しない後輩。
なんだか以前の日常を見ているようで懐かしい気持ちになった。
あんなに嫌だったのに、まさか微笑ましい気持ちで観れる日が来るなんて。
それほどまでに日常が遠くに行ってしまったんあだなとしみじみ思う。
職場の人はみんな個性豊かだ。先輩になればなるほどその個性が滲んでいる。
うるさい人もいれば、寡黙な人もいて、怖そうで優しそうな人もいれば、優しそうで怖い人もいる。
そういう人たちで自分の日常が作られていたのだなあと改めて思う。
ウマの合う人達だけではないが、それもまた人生なのだろう。
良いことも悪いことも今となってはいい思い出だ。
そしてそんな日常を作ってくれた職場が今は好きだ。今は。
仕事というものが自分が想像していたのよりもずっと大切なんだということを知った。
社会に参加しているという感覚は、人間にとって必要な感覚の一つなのかもしれない。
仕事が始まったら、そんなこと思わずに、早くやめたいだの、相変わらずお局は煩わしいだの、思うのだろう。
仕事やお局に感謝しているこの気持ちはすぐに消えるはずだ。
だからこそ、この一瞬の感情を今文章にする。
「#わたしの仕事場」